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新潟県内の創業・起業の取り組みを一挙に紹介! 「NIIGATAスタートアップ支援サミット2021」レポート前編

新潟経済同友会と新潟県、新潟市、新潟ベンチャーキャピタル株式会社は7月29日、「NIIGATAスタートアップ支援サミット2021」を新潟市内で開きました。

スタートアップが生まれ育つエコシステムを新潟に作ろうと県内各地の現場で取り組みを主導するキーパーソンが集結。新潟の創業・起業に関する現状を把握した上で実際の取り組み事例や各種の支援策について共有・議論しました。

この記事ではイベントの様子をお伝えするとともに、今回のサミットで集結した県内のスタートアップ支援に関わる自治体や企業、団体の取り組みを一挙にご紹介します。

県内の2021年夏現在のスタートアップ支援をめぐる動きが見える”保存版”です✨

感染症対策を講じて実施

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(座席間のソーシャルディスタンスを十分に確保)

緊急事態宣言の発令前に開催したイベントでは、消毒やソーシャルディタンスの確保、関係者以外の入場制限などさまざまな感染症対策を講じました。

イベントの冒頭、サミットを企画した新潟経済同友会 2040・アントレプレナー委員会の木山光委員長(木山産業株式会社 代表取締役社長)は「一同に集まったスタートアップや起業・創業に携わる関係者が情報交換や課題共有をする場としていただくとともに、新潟県が官民連携で起業創業に対して前向きに取り組んでいる姿を発信し、新潟を皆さんと盛り上げていきたい」と呼びかけました。


来賓として挨拶した花角知事は「起業・創業を含め新しいことにチャレンジする人が次々と出てくることが、中長期の新潟の成長戦略の柱だ。思いと行動力を持った民間・行政のみなさんがお互いに意見交換し、熱意を持った人が新しくチャレンジする人が集まってくるための機会となることを期待したい」と述べました。

濱野幸一関東経済産業局長からはビデオメッセージが届きました。「新潟の取り組みは全国のモデルケースになる。地域の経済活性化のためには次のJ-Startup認定企業を育てていくことも重要だ。8月20日にはJ-Startup認定企業のミートアップも開く。新潟、そして日本の経済発展につながるよう取り組んでいきたい」と述べました。

新潟は”ゼロ→イチ”から”イチ→10”に支援を

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第一部の基調講演では、フラー株式会社の渋谷修太会長が「新潟版エコシステム2.0」と題し講演。新潟を企業家が集う街にするためにどのような取り組みを進めるべきかについて語りました。

「官民の連携により、ここ数年で新潟のスタートアップを取り巻く環境は充実してきている。新潟にはスタートアップがビジネスをゼロからイチに構築するための様々な支援や人が集まりつつある」と指摘した上で、「今後はスタートアップ にとって最も苦しい創業から3年くらいの時期を支える仕組みが重要だ」として、スタートアップ向けのファンド創設や投資家と起業家をつなぐコミュニティー作りを提起しました。

「これまでの取り組みと支援」をテーマに基調講演した株式会社プロッセル の横山和輝代表取締役は、自身が新潟で新規創業するまでの経緯や県内のスタートアップへの支援環境について現場視点で紹介。「資金調達などの面でJ-Startup NIIGATAに選定されたことが大きく効いている」とした上で、「ここから新潟でスタートアップを大きく成長させるためには、継続的な資金サポートが重要になる」と訴えました。

首都圏の学生が”新潟に移住して起業したい”と相談

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スタートアップ支援の中核拠点施設であるSN@Pを運営する株式会社スナップ新潟の逸見覚代表取締役社長は、県内の起業の現状について解説。オンラインコミュニティーに加入した起業を志すメンバーが150人にのぼることや、24才以下の若年層が7割を占めていることなどを紹介しました。

逸見社長は「“アンダー24”の若者が新潟で頑張っており、官民連携の支援の充実を聞きつけた首都圏の学生が”新潟に移住して起業したい”と相談してくるケースも出てきている。今後はこの”起業熱”をいかに保ちながら成長性の高い起業家をいかに育てていくかが課題だ」と指摘しました。

SN@Pはスタートアップ支援拠点の中でも中核的な役割を担う”オンラインサロン”を運営。高成長が見込める将来性のある起業家予備軍の意欲あるメンバーに対し、場所にとらわれることなく起業相談や創業に向けた支援を積極的に行っています。

スタートアップ関連団体・組織が集結!

第二部では、スタートアップ支援の取り組みに参加する団体から取り組みの現状や成果、今後の課題などについてさまざまな報告がありました。新潟県のスタートアップに関連する行政、民間の組織や団体が一挙に集まった形です。

新潟県

新潟県 創業・イノベーション推進課は、県の支援の現状を報告。起業前、起業初期、成長期における起業家支援や、学生の起業志望者を対象とした起業塾をはじめとする起業家予備軍の育成などについて紹介しました。

新潟県創業・イノベーション推進課は、2021年度に新設された部署です。県内の創業・起業に関する事柄から技術革新による県内の産業振興に繋がる取り組みまで、幅広い支援や自治体・団体・企業との橋渡し役を担います。

新潟県内の創業・起業に関わる情報が集まる「にいがた創業支援プラットフォーム」も、創業・イノベーション推進課が手がける取り組みの一つです。

新潟市

県都である新潟市の産業政策課は、新潟市内の創業・起業関連の現状と、今後のビジョンについて紹介しました。

人口が県内最多で都市機能が集積する新潟市だけに、JーStartup NIIGATAの選定企業20社のうち、本社所在地が新潟市の企業は10社と半数を占めます(2021年9月時点)。

NICO(公益財団法人にいがた産業創造機構)

NICO(にいがた産業創造機構)からは、起業・創業への支援実績の報告がありました。

NICOは新潟県の産業を活性化することをミッションとした公益財団法人です。「むすぶ」「育てる」「創る」という機能を発揮しながら、「創業・経営革新の促進」「次代をリードする産業群の創出」に取り組んでいます。


創業・起業支援のメニューも豊富に用意しており、下記のウェブサイトから最新情報を確認することができます。

新潟IPC財団(公益財団法人新潟市産業振興財団)

新潟IPC財団(公益財団法人新潟市産業振興財団)からは、起業相談の実績や、セミナー等の取り組みについて報告がありました。

新潟IPC財団は、新潟市とその近隣市町村の中小企業などの販路拡大や市場開拓、新製品・新技術の研究・開発、人材の確保・育成、経営基盤の強化を総合的に支援する団体です。

地域産業の振興と活性化を図り、活力ある地域経済社会の構築と地域住民の生活の向上、福祉の増大に寄与することを目的としています。個別相談や創業・起業に関するセミナーなども頻繁に開催しており、ウェブサイトで開催情報をチェックできます。


スタートアップ拠点「HARDOFF Startup Shibata」

ハードオフコーポレーションの山本太郎代表取締役社長は、地元・新発田市で運営を手がけるスタートアップ拠点「HARDOFF Startup Shibata(HSS)」の取り組みを紹介しました。

「HSSの掲げるミッション」を紹介し、これらのミッションに共感できる起業家大切にしてもらいたいことを示した上で「家族と同じなので、一緒に頑張りたい」としました。


新発田から新たなスタートアップを生み出そうとHARDOFF Startup Shibataはミッションに共感する起業家に対し、コワーキングスペースの提供やメンタリングを精力的に実施しています。


新発田市

続いて、新発田市は行政の創業支援の取り組みについて紹介しました。

特徴ある取り組みとして、小学校の統廃合により空き家となった旧校舎を利活用したコワーキングスペースの整備などハード面での支援になどについて検討が進んでいることを説明しました。新発田市では創業に必要な準備や事業計画、マーケティングなどについて学べる“創業塾”も開いています。


スタートアップ拠点「MGNET」

燕市のMGNETの武田 修美(@magoo_takeda)代表が県央地域での創業支援の取り組みを報告しました。

「MGNET」では、燕三条地域のスタートアップ拠点として、地域ならではのものづくりを起点としたまざまな取り組みに加え、教育事業にも精力的に取り組んでいます。

燕市

燕市は産学連携やまちの活性化などと関連した総合的な創業支援の取り組みについて報告しました。

燕市公式ウェブサイトの「創業ポータル」は、同市による創業支援の制度やセミナーについて非常にわかりやすくまとめられています。


スタートアップ拠点「CLIP長岡」

長岡市のスタートアップ拠点、CLIP長岡の高橋代表は、起業・創業の伴走支援について紹介しました。

現在までの企業数は223件、企業相談件数は2010件に上るとのことです。高橋代表は「ゼロから1を作る支援はある程度形が見えてきた。今後は1からNへの成長支援が重要になる」としました。

CLIP長岡では、起業を目指す学生らへのイベントを含めてさまざまな支援や相談を行っています。

長岡市

長岡市の産業イノベーション課は、長岡市の創業支援の取り組みと課題について報告しました。

官民連携での創業支援の取り組みが進む中、特に大学や高専など教育機関が集積する長岡市だけに、学生起業を後押しする補助金も設置するなど地域の特色がにじみ出ます。


スタートアップ拠点「asto」

十日町市のスタートアップ拠点、astoの滝沢梢代表は、ハード・ソフト両面からの創業支援や、地域での起業・創業の状況などを報告。地域発の起業を支える仕組みについて説明しました。

特に副業やフリーランスで拠点のコワーキングスペースを活用する中で、起業家がそれぞれが持つ特性や強みをお互いに生かしながら連携する重要性を提起しました。

創業100年を超える老舗の地元企業の倉庫に2階にある元社員寮をリノベーションして開設されたastoでは、地域内外のクリエイター同士の交流が生まれつつあります。

十日町市

十日町市はビジネスコンテスト「トオコン」や、市の創業支援体制などについて紹介しました。

十日町市では新規創業や第二創業を後押しするプログラムを多数用意しています。2015年〜19年まで開催していた「トオコン」は、ビジネスプラン審査会として今年も実施しています。地域で継続して雇用が生まれるような創業・起業の創出を目指し取り組んでいます。

スタートアップ拠点「湯沢町・きら星BASE」

湯沢町のスタートアップ拠点、きら星BASEの伊藤綾代表は、これまでの支援・事業実績と、今後の伴走支援の取り組みについて紹介しました。

「人口8000人の町でも工夫次第でコワーキングスペースやシェアオフィスは成立する」と実績を示した上で「ローカルビジネスで必要なのは、1からNを作るアクセラレーションだ」と提起しました。さらに拠点を横断した連携の重要性も指摘しました。

きら星BASEは、越後湯沢駅から徒歩7分の場所にある旧保育園をリノベーションした施設です。町の内外から人が集まるきら星BASEではビジネスから食事会まで多彩なイベントを積極的に開催。多様なバックグラウンドを持つ魅力ある人々による交流からビジネスが生まれ始めています。

湯沢町

湯沢町の企画政策課から創業・起業に関する町の現状を紹介するとともに、「起業型」地域おこし協力隊や湯沢町産業振興ネットワークなど、今年度からスタートした取り組みについての報告がありました。

湯沢町では、今年度から起業型地域起こし協力隊2名を迎え入れ、民間スタートアップ拠点であるきら星との連携の下、町内における新たなビジネスの創出を目指し取り組みを加速させています。


佐渡市

佐渡市からは、島内での創業に関する補助制度や移住支援の取り組みなどが紹介されました。

佐渡市は2月に「佐渡ビジネスコンテスト2021」を開催。佐渡の地域性を生かしたビジネスアイデアが多数集まりました。コンテストをきっかけに、県内外のスタートアップが地域で活動を展開する土台が生まれ始めています。

スタートアップ拠点「フルサット」

上越市のスタートアップ拠点、「フルサット」からは、拠点の現状や創業支援の取り組みについて報告がありました。

フルサットは、北陸新幹線上越妙高駅から徒歩1分の場所にあります。飲食店などによる拠点施設のへのテナント出店を柱とするフルサットの取り組みは、ローカルスタートアップによる創業・起業の取り組みを加速させる拠点としてさらに進化しつつあります。

上越市

上越市からは、上越地域での産業の特性や創業支援の状況について報告しました。

同市内で毎年70人以上の創業者が生まれており、行政や金融機関などで構成する「創業支援ネットワーク」が連携し、創業・起業希望者支援に連携して取り組んでいます。

最新の支援情報は市の公式ウェブサイトでも随時紹介しています。

県内17の自治体や団体が地域の特性やフェーズに応じたさまざまな創業・起業・スタートアップ支援の取り組みに取り組んでいることがわかりました。いずれの地域も官民連携による支援が今後の鍵を握りそうです。

第三部のパネルディスカッションでは、創業・起業に関する数値目標の捉え方や、今後何をすべきかいったトピックまでさまざまな議論が行われました。パネルディスカッションの様子は次の後編にてご紹介します。お楽しみに✨

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