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【SN@P新潟支援パートナー特集】07_エスイノベーション株式会社

今回は「にいがたでの創業を応援するSN@P新潟支援パートナー」をテーマに、支援パートナーであるエスイノベーション株式会社 代表取締役CEO 星野善宣さんにお話を伺いました。企業が成長するための星野さんならではの想いや、SN@P新潟支援パートナーとしての関わり方についてお伺いしました。

エスイノベーション株式会社 代表取締役 CEO 星野 善宣さん

〈プロフィール〉
星野 善宣(ほしの よしのぶ)
新潟県出身。新潟高校から北海道大学工学部へと進学。卒業後は大手商社にて海外営業を担当。コンサルティングファームに転職し、中小企業の事業変革に向けたコンサルティングに従事した後、2007年にパートナーオブスターズ株式会社を設立。スタートアップ向けの事業成長を支援する。また、エスイノベーション株式会社を2021年に設立し、地域企業のイノベーションを実現するためのプラットフォームの構築・運営に加え、事業承継・DXの推進支援に携わる。社外では、2015年に新潟ベンチャーキャピタル株式会社取締役、2020年にはフラー株式会社社外取締役を歴任。新潟ベンチャー協会理事も務める。

地域の企業をイノベーション

ーーエスイノベーション株式会社はどのような会社なのでしょうか?
当社は"地域の企業をイノベーションする"をテーマに、企業が躍進するためのサポートを行っています。アプローチの方法としては2つあります。
1つは個々の企業をコンサルティングさせていただいた上でのDX化や新規事業開発などの成長支援です。加えて、事業承継のサポート等も行います。経営者の方とお話していると、「あったら便利なツールやスキルを知らない」、「新たな取り組みを進めたいが、何からやればいいのかわからない」という方が多い印象を受けます。そんな皆さんのお話をお伺いして、後押ししていくのが我々の使命だと思っています。
もう1つは、各企業の共通の課題を解決するためのコミュニティやプラットフォームを作ることで、情報提供や企業同士のマッチングの他、必要な情報を得るための勉強会を開くなど、ノウハウの共有を可能にしています。2022年9月に開始したオンラインコミュニティ「oO COMMUNITY」(オーコミュニティ)では、県内外の経営者や起業家はもちろん、起業を目指す若い世代が参加して共に学び、情報交換を行っています。

企業の成長は、会社と社員の方向性の一致がカギ

ーー大手商社の海外営業などを経験した後、2007年に起業されました。きっかけはどんなことだったのでしょうか?
自分のやりたいことを、新卒で入社した会社で実現することは難しいなと感じたことがきっかけです。正直なところ、起業については全く考えていませんでした。しかし、海外で色々な方と関わる中で「君はいつ起業するの?」と聞かれることが多く、周りの方からの声がけで起業の道があるということを学び、意識し始めました。その後、M&Aで子会社の経営に携わったのですが、親会社と子会社の関係性を意識するあまり、ネガティブな気持ちになっている社員と接する機会がありました。そんな社員たちを見て、「もっと楽しく仕事をしてもらえる環境」を作りたいなと思い、起業する決心をしました。

ーー星野さんが考える、「楽しく仕事が出来る環境」というのはどのような環境でしょうか?
「会社が目指す成長」と、「働く人たちが実現したいビジョン」の方向に共通性が持てる環境です。M&Aで吸収された会社の場合、元々違う会社ですから、考え方や方向性が決して親会社と一致しているわけではないので、その会社のビジョンをどう変えていくか、共有していくかが課題となります。

ーーしかし、同じ志を持つ仲間を集めるというのは決して簡単ではないと思うのですが、何か工夫はされましたか?
会社のやりたいことを明文化することで仲間を集めました。会社のHPでは、我々が目指すビジョンを細かく提示しています。そうすることで、「この会社はこんなところを目指しているのか」、「この会社は自分のやりたいこととマッチする」などと興味を持ってもらえると思っています。私は、「社員が仕事を楽しむこと」が"ビジネスを加速させるカギ"だと考えています。会社のやりたいことと、社員のやりたいことがマッチしていれば、仕事が楽しくなってのめり込んで行く。それが結果として会社の成長に繋がっていくのだと考えています。

既存企業の成長を促進し、新潟の経済を活性化

ーーいきいきと仕事が出来る環境は理想的ですね。そんな中、2021年にエスイノベーション株式会社を立ち上げたのはどんな想いからだったのでしょうか?
コロナ禍となり、新潟県内の企業も経営が厳しく、閉塞感がありました。そんな中、新潟県の経済を後押ししたい、コロナ禍で勢いが衰えた経済を動かしたいと思って立ち上げた会社です。特徴は、"地域に根づく既存の企業のイノベーションを推進する"という部分です。もちろん、0から1を生み出して新たに起業する方々をサポートすることも大切にしています。

ーー"地域にイノベーションを実装する"を2025年のビジョンとして掲げていらっしゃいますが、これまでの手応えはどうですか?
正直なところ、初めは苦戦していました。各企業の経営陣に新たな取り組みを提案・支援をしていけば上手くいくと思っていたのですが、それだけでは難しかったです。色々模索した結果、幹部の方々の支援も必要だということがわかってきました。経営の視点も持つ一方で、現場の視点も持ち合わせた立場の方の理解を得て、興味を持ってもらうことで新たな取り組みが企業に浸透し、成長に繋がっていくとわかりました。
具体的な取り組みとしては、例えば、県内の中堅中核企業と県内外のスタートアップが連携し、事業共創に繋げる「InnoLaboNiigata」というプロジェクトに取り組んだり、人材育成ではDX人材を育てる研修を行っていたりします。

ーー企業のDX化の取り組みは近年よく耳にしますが、全く知識のない方々には難しいのではないでしょうか?
DXのプロを育てるというよりも、DXに対して知識を深めることで苦手意識を減らすことを大切にしています。それよりも、取り組みに対するモチベーションを維持することが重要だと思っています。一度研修をして終わりではDXに対する関心が薄れてきてしまうので、抵抗感なく続けられるようなオープンイノベーションを提供し続けていくことで、モチベーションを維持していけると思っています。
さらに、特に熱量が高い企業には、コンサルティングを通して問題解決の取り組みを実証していきます。結果を出して実績をどんどん作ることで、同業の皆さんにも取り組みについて自信を持ってご提案出来るようになりますし、提案される企業側も安心して受け入れていただけると思います。そして、共通の問題を解決できるソリューションを作り、積極的に展開していくことで地域のイノベーション実装が実現出来ると考えています。

オフラインだからこそ実現する、さらなる交流の広がり

ーー掲げたビジョンに着実に近づいていますね。そんな中、今年2月には古町にカフェ&バー "oOSPACE Niigata"をオープンしました。この取り組みにはどんな狙いがあるのでしょうか?
これまではオンラインでの交流や情報共有の場を設けてきましたが、リアルで繋がれる拠点にしようと思い、作りました。お店は手前がオープンスペースになっていてどなたでもご利用いただけます。お店の奥には会員制のスペースがあり、ゆったりとしたソファー席で語り合うことが出来る環境です。

ーーコロナ禍を経験し、オンラインでの交流が浸透してきていると思うのですが、あえてオープンしたのはなぜでしょうか?
オンラインに参加されない経営者の皆さんとも接点を作りたいと思ったからです。やはり年代によってはオンラインに馴染みのない方もいらっしゃいますから、オフラインにすることでより人の輪を広げることができると考えました。実際に、今までお会いしたことのなかった経営者の方とも出会えることができました。同時に、これまで古町に足を運んでいなかった若い方たちが繋がりを求めてお店を訪れてくれるなど、着実に交流の拠点になってきていると感じています。経営者の方々は「若い方がどんな考え方をしているのか知りたい」、一方で若い方々は「先輩から多くのことを学びたい」と、お互いに情報を交換して刺激し合える環境を提供出来ていることがとても嬉しいです。

長年の経験を活かして創業からスケールまでをサポート

ーー企業だけでなく、これから活躍していく方々の支援にも繋がっているんですね。エスイノベーションはSN@P新潟の支援パートナーとして起業を目指す方々と関わっていらっしゃいますが、パートナーとなったきっかけを教えてください。
当時、取締役を務めていたベンチャーキャピタル株式会社とSN@P新潟のオフィスが隣だったというご縁で関わらせていただいたのがきっかけです。初期の頃は、最初に起業したパートナーオブスターズ株式会社の立場で関わらせていただき、現在はエスイノベーション株式会社の立場から支援させていただいています。

ーー星野さんならではの支援はありますか?
17年ほど会社経営をしているので、0からスタートして上場までのサポートが出来ると自負しています。まずは今やりたいことを聞きながら、私の経験をもとに構想をブラッシュアップします。新規事業を起こすときには「何から始めたらいいのか」、「出資に関して何に気をつける必要があるのか」などについても話します。また、これまで不動産や飲食、店舗展開のサポートも経験して知識があるため、スモールビジネス以外の経営についてもアドバイスすることができる部分は、私の強みだと思っています。お金回りのご相談も含めて、創業からスケールさせていきます。
SN@P新潟では、ベンチャーだけではなく、どんな職種でも相談に応じています。私を含め、多様な支援パートナーがいるため、相談される方の課題に合った支援パートナーを紹介できると思います。「起業したいけど、どうしたら良いだろう」と悩んでいたらまずは足を運んでいただきたいです。きっと良い方向に進んでいけると思います。

本気で挑んだ分だけ、望んだ未来がある

ーー星野さんの経験を踏まえ、起業したい方へアドバイスをお願いします。
起業を考えている方にお伝え出来るのは、「起業」という選択だけが正解ではないということです。もちろん、起業することで選択肢が増えるというメリットはあります。しかし、先頭に立って周りを引っ張っていくことが得意な方がいれば、サポートすることが得意な方もいます。そのような"向き不向き"も頭に入れておくことが大切だと思います。
とはいえ私の場合は、向いていないだろうなと思いつつも、やりたいと思っていたことが所属していた会社や、周りを見た時に実現できそうな会社がなかったので、自分でやってみようと起業に至っています。この経験から、「起業に必要なことは、やりたいことを真剣にやり続ける」というのが重要だと感じています。その心を持ち続けることが大切だと思いますし、その過程で起業するというアクションがあるのだと思います。本気で挑戦して自身が望んだ未来を突き進んでください。


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