【サテライトオフィス取材記事】企業と大学をツナグ
大学内にサテライトオフィスを新設し、大学と企業をつなぐ取り組みを行う新潟国際情報大学学長の越智敏夫氏にインタビューしました。大学が主導し、学内にサテライトオフィスをつくるという異例の取り組みに迫ります。
より良い大学生活のため、世間との窓口をつくる
――大学主導で、構内にサテライトオフィスをつくる試みはなかなか珍しいと思います。どのような想いで始められたのでしょうか?
越智:大学生活において、学生はもっと学外に目を向けないともったいない、と思っています。私自身も大学時代、社会人の読書会に参加したり、他大学の授業に参加するなど、色々な刺激を受けていました。大学生活の4年間は単に勉強するだけではなく、学外の領域へ挑戦することで充実すると考えています。
また、社会とのつながりが弱く、内向きになってしまいがちな大学という場所に、学生が世間とつながれるスペースをつくりたいという想いから、サテライトオフィスを創設しました。
大学は、教員が研究を行え、学生は身分を保証されながらやりたいことに没頭できる特権のある、かけがえのない経験ができる場所です。しかし、これらの権利を享受するためには、本来は世間と接することができる状況にあるべきであり、大学内のサテライトオフィスはまさにそういった場所になります。学生が世間との接点を持つことでより自立でき、ひいては大学全体が明るくなるだろうと考えています。
大学と企業をツナグ
――『ツナグ』の字のごとく、大学と企業を “ツナグ” 場を目指されたのですね。そんなオフィスにはどのような想いを込めていますか?
越智:私達は企業の実情を完全には把握できないですし、企業の方々も大学の実情を把握するのは難しく、お互いの長所を上手く活かしきれていないと考えています。
そんな不幸な関係をほぐす場としても、このサテライトオフィスを使っていきたいです。学生は卒業後に社会に出るわけですから、大学と企業の構造的な不和を解消することで、大学内だけでなく社会全体を良くすることにつながってほしい、と考えています。
そもそも学生は、大学内で企業や社会人とつながる場がほぼありません。オフィスで企業と接したり、働いている様子を見たりするだけでも刺激になると思いますし、ちょっと気になった企業があれば、インターンとして企業と接点を持つのもいいのではないでしょうか。学生たちには遠慮せずに、どんどん有効活用してほしいですね。
企業とつくりあげる
――とても素敵なサテライトオフィスですね!今後どのような場所にしていきたいですか?
越智:オフィスの使い方などは、今後企業のみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。実際に利用してもらいながら、一緒に改善していくことで、良い場所をつくりあげていきたいです。
また、大学には「社会の多数派が見おとしていることを発見し、社会を良くする」という役割があります。せっかく大学内にあるオフィスなので、マイノリティーの属性を持つような人・企業にこそ使ってもらい、そこからより良い社会へとつなげられたらいいですね。
ゆくゆくはこのサテライトオフィスが様々な方のつながる場となり、新しいことが生まれる場にできたら素晴らしいですね。
変わり続けるサテライトオフィス
――最後に今後の展望について教えてください。
越智:今はWi-Fiとコンセントがあればどこでも仕事ができる時代です。サテライトオフィスは働く場所であることはもちろん、「人とつながれるから使いたい」と思ってもらえるような、人と人とがつながる場所にしたいです。「ツナグ」もそんな願いを込めています
このサテライトオフィスも、コワーキングスペースとしての役割に留まらず、「こんな使い方もいいんじゃない?」「そもそもどうあるべきだろう?」と、時代に即したサテライトオフィスにしていきたいです。