新潟ベンチャー協会(NVA)佐渡合宿リポート:メンタリングの重要性と、起業家・経営者・行政の一体感
新潟ベンチャー協会(NVA)は11月15、16の両日、新潟県佐渡市で”NVA佐渡合宿”を開きました。
10月にNVAが初めて開いたピッチイベントで優秀者に選ばれた起業家5人、NVA会員である事業会社の経営者や投資家、新潟県の担当者らが佐渡に集結。起業家のビジネスプランを集中的にブラッシュアップしました。
1泊2日という短いながらも非常に濃密な時間となった合宿では、実際にどのようなことが行われたのしょうか?
にいがた創業支援プラットフォーム取材班が密着しました。
当日のツイート実況のハイライトとともにお届けします。
次世代の高成長なベンチャーや第二創業者を輩出へ
新潟県に所縁のある若手経営者らが集まり、経営者間の人的交流や連携、ベンチャー・スタートアップの支援などの活動を通じて、次世代の高成長なベンチャーや第二創業者を輩出することを目的にNVAは発足しました。
NVA設立の経緯は、下記の記事で理事の中俣さんが詳しく語っています。ぜひご覧ください。
船の中から早くも合宿スタート
11月15日早朝、新潟市の佐渡汽船新潟港ターミナルに起業家、経営者、投資家、行政と多様なバックグラウンドの参加者16人が集合しました。
新潟発両津港行の佐渡汽船カーフェリーに乗り込んだ一行は、簡単な自己紹介とオリエンテーションをした後、すぐに”対話モード”に入りました。
起業家が目指したいビジョンを語り始めると、事業会社の経営者がいきなり具体的な計画やビジネスアイデアの内容などについてアドバイスをするといった具合に、佐渡会場に到着する前からすでに合宿がスタートした状況です。時間を一刻も無駄にせずに目的に向かって取り組む姿は、早くもこの後の濃密な時間を予感させます。
座学ほぼ無し、メンタリングの嵐
佐渡の両津港に到着した一行は、レンタカーで会場となるHostel Perch(パーチ)へ移動。Hostel Perchは築約70年の古旅館を改装したゲストハウスです。木造家屋が醸し出す温かい雰囲気が特徴で、思考の切り替えに大いに役立つ本格サウナも完備しています。
今回の合宿は、10月のピッチイベントで発表した8人の中から優秀ピッチに認定された5人の起業家が臨みました。
合宿の目的は①ビジネスプランのブラッシュアップ②最終ピッチ最優秀者の決定③将来有望な起業家やNVA会員らの”横のつながり”をつくるーの3つです。
10月のピッチイベントで発表したビジネスプランについて、起業家はできる限りの改善や課題抽出をした上で合宿に参加。投資家、事業会社の経営者、行政など様々な立場の参加者と起業家との ”メンタリング(対話)” を通じて、さらなる改善や計画の変更といったブラッシュアップを合宿で行いました。
その上で、NVAとして今後集中的に支援をする起業家を決める最終ピッチを実施。一連の過程で生まれる対話や交流が、新潟発のベンチャー企業創出や二次創業者の輩出に向けた横のつながりを生み出すといった形です。
メンタリングに多くの時間を割いた一方で、今回の合宿では「座学」がほとんどありませんでした。Perch内に全員が集まって座学に近い時間を設けたのは、地元・佐渡市による創業支援の取り組み紹介のみ。それだけメンタリングや対話に”全振り”をした合宿となりました。
多様なフィードバックで結果につなげる
NVA佐渡合宿のほぼ大半をメンタリングとした狙いについて、合宿を企画したNVA代表理事の渋谷修太さん(フラー株式会社会長)は、後日次のように語りました。
「今回のNVA合宿では、抱えている課題や解決していきたいことが個別に違うことが10月に開いたピッチイベントを通じて見えていました。ですので、メンタリングをするそれぞれ違う立場の人間から起業家がたくさんのフィードバックを受けた方が、確実に結果につながると思い、メンタリングに合宿の大部分の時間を割きました」
「さらに、グループメンタリングをすることで、違う視点の掛け合わせでさらに新しい解決策やアイデアが生まれるのではないかと考えました。実際、ピッチをする起業家が抱いていた、もやっとしたビジネス課題をクリアにしたり、うまく切り出したりすることができたと感じています」
佐渡を感じながら”横のつながり”生み出す
今回の合宿では「佐渡の魅力」を感じるアクティビティーとして、佐渡金銀山で開催されているライトアップツアーに全員で参加。壮大なスケールの歴史的構造物がライトアップされる瞬間に立ち会うことができました。
途中の休憩で立ち寄った海岸では、佐渡の素晴らしい夕日が参加者を出迎えてくれました。
夜の懇親会はHostel Perchの屋外で”焚き火”を囲みながら実施しました。
地元の酒蔵である天領盃酒造株式会社代表取締役の加登仙一さんが焚き火をバックに日本酒にかける思いについてピッチを披露。幻燈機に映るスライド一つ一つに日本酒への熱意が入ります。
その後も焚き火を囲みながらNVA会員が創業した際の苦労話などに耳を傾けたり、メンタリングの続きをするなど、静かながらも熱く語りあう時間となりました。
こうしたメンタリング以外の休憩や移動時間もフルに活用し、事業会社の第一線で活躍する経営者や投資家と直接対話をする様子が目立ちました。
最終ピッチ直前まで追い込み
最後の追い込みがぎりぎりまで続いた後、16日午前8時45分から最終ピッチ審査が行われました。
5人の発表者は、くじ引きで決まった順番で発表15分、質疑応答15分の持ち時間の中でプレゼンテーション。NVA会員は独創性やマーケット、事業計画の明確性、経済効果、成長性といったさまざまな視点から審査しました。
各発表者のテーマは次の通りです。
蛭子拓夫さん
テーマ:Howsing note(住宅のセルフメンテナンスをサポートするアプリ)
松田祐樹さん
テーマ:イチゴの通年栽培システムによる生産、流通革命
横山和輝さん
テーマ:オンラインでの活動を可視化させるプラットフォーム"Prossell"
室田雅貴さん
テーマ:課題解決チャレンジ「ふるぼの」(合宿中のメンタリングを踏まえ、副業人材マッチングサービス「ともるい」をテーマにピッチに臨みました)
谷川奨さん
テーマ:釣果共有×ゲーミフィケーションで釣り人の体験価値を最大化する
いずれのピッチも時間ギリギリまで質疑応答が続き、NVA会員の関心と参加者の本気度の高さが伺えました。
審査の結果、最優秀者は谷川奨さん、優秀者は横山和輝さんにそれぞれ決定しました。今後、NVA理事が約半年間、集中的にメンタリングや伴走支援を行います。さらに、一部のNVA理事が出資を検討しているとともに、NVA理事の人的ネットワークを活用した大型の資金調達支援も開始しています。
ベンチャーが生まれる「エコシステム」を実践
今回の合宿では起業家、NVA会員、行政とさまざまな立場の人々が一体となり、新潟発のベンチャー企業が生まれる「エコシステム」の実践に向けて積極的に動いている様子を実際に見ることができました。
今後、ピッチイベントに参加した起業家がどんな思いで世の中に価値を提供しようとしているのか、こちらのnoteでインタビューを通じてお伝えする予定です。どうぞお楽しみに!
令和3年春先に第2回ピッチイベントを予定
新潟からベンチャー企業が生まれる「エコシステム」として実際に動き出したNVAのピッチイベントは、令和3年の春先に第2回目を予定しています。
詳細が決まり次第、にいがた創業支援プラットフォームのTwitterでもお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします!