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食と運動で幸せな日常を提供したい 〜唯一無二の複合施設を開くため新潟でUターン創業〜

今回は、新潟県U・Iターン創業応援事業に採択され、新潟でUターン起業をされたB_B macrobiotic (マクロビオティック)・しゅっと conditioning(コンディショニング) オーナー 馬場栄子さんに、お店のコンセプトや開業したきっかけ、Uターンに至った経緯などについてお話を伺いました。

B_B macrobiotic・しゅっと conditioning オーナー 馬場栄子さん

<プロフィール>
馬場 栄子(ばんば えいこ)
新潟県十日町市出身。高校卒業後、関東の大学に進学する。その後、関西で鍼灸師やトレーナーを経験して食養生を学び、3年間徹底的に実践する。新型コロナウイルス感染症をきっかけに十日町へUターンし、2022年3月にマクロビオティックとヴィーガンメニューを取り扱うカフェ「B_B macrobiotic」と、体の軸作りをベースにエクササイズプログラムを行う「しゅっと conditioning」をオープンする。


※食養生
健康を維持するために、「何を、どのように、食べるのが良いのか」ということについて、多くの先人たちから引き継がれる英知のこと。


元気と健康の先にある幸せを求めて

ーーB_B macrobiotic、しゅっと conditioningはどのようなコンセプトで運営されていますか?
『「食」と「運動」の二大生活習慣によって、心と体の元気と健康を実現する』というコンセプトで運営しています。元気や健康の先には、「楽しい」や「幸せ」と感じる満ち足りた日常があると考えています。そして、自由で満ち足りた日常を目指していくという考えのもと、2業種複合店舗の運営を行っています。

ーー「マクロビオティック」を取り扱うお店は珍しいように感じますが、そこに焦点を当てた理由を教えてください。
私自身、マラソンやトライアスロンのトレーニングに勤しんでいたことや、鍼灸師からトレーナーに転職し、運動を指導する立場も経験しました。そこで、指導側と実践側両方の経験を活かせる個人フィットネススタジオを開業することを目標に定めました。
勉強をしているうちに「マクロビオティック」に出会い、実際に試してみることで、自分の中に落とし込むことができました。その結果、驚くほど心と体が生き生きするような変化を実感したため、これを仕事にしたいと思いました。

※マクロビオティック
穀物、野菜、海藻といった日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら健康な暮らしを実現する考え方。

ーーコンディショニングスタジオの方が先だったのですね。なぜ1店舗だけでなく併設しようと考えたのでしょうか?
一言で言うと、差別化を図る目的からです。世の中にフィットネススタジオやパーソナルジムはたくさんあり、十日町にもいくつか存在します。その中で、自分のオリジナルの運動指導ができるとしても、お客様から見たら他の施設と括りは同じで、区別がつきにくいのではないかと考えました。そこで、マクロビオティックカフェとの複合施設を思いつき、どちらも同時にやることで、ここでしか提供できない、価値のあるお店をやろうと思いました。すでにあるものと同じことをするのではなく、オンリーワンを目指したかったからです。

ーー確かに唯一無二の組み合わせですね。起業(店舗立ち上げ)しようと思ったきっかけ・タイミングは何だったのでしょうか?
もともと50歳までに起業することは決めていて、両親にも宣言していました。仕事も好きなことをして稼いでいたし、趣味のスキューバダイビングにもよく行っていましたが、その生活に満足しているままでは起業が先延ばしになってしまうと感じていました。
また、47歳の時に新型コロナウイルス感染症が原因で仕事を失ったことも、起業するきっかけの一つでした。このことから「いい加減、十日町に戻って起業しなさい」と言われている気がして、起業を決意しました。

素材のおいしさを最大限活かした体に優しいメニュー
開放感と木の温もりが感じられるスタジオ

生まれ育った十日町でUターン創業

ーー馬場さんがUターンに至った経緯を教えてください。
30代半ば頃に、自分の今後の生き方を考える出来事がありました。それは、夫を病気で亡くしたことです。寿命で亡くなった祖父母以外で、若くして人が亡くなることを初めて目の当たりにしました。その時に、「若くても人生を終えることがあるんだ。時間は本当に有限なんだ」と痛感させられました。また、40代に差し掛かる頃から、両親の老いを少しずつ感じるようになり、「親も自分も歳をとって、人生のタイムリミットに確実に近づいていく」ということを意識するようになりました。両親の健康状態が心配になってから新潟に戻ろうと漠然と考えていましたが、自分がまだ元気で自由がきくうちにUターンしようと思いました。

ーーUターンでの創業によるメリットや強み、Uターンして良かったことはどのようなところですか?
十日町は移住者に手厚い補助があります。起業するにはやはりお金が必要だったため、経済面で支えていただき、とても助かりました。
十日町は生まれ育った場所のため土地勘があり、元々の知り合いや友達もいることがUターンのメリットの一つだと思います。

ーーその一方で、起業するにあたって大変だったことや苦労したことはありますか?
計画書の作成や融資の手続きなど、起業に関すること全てが初めてだったため、とても大変でした。話を聞いたり相談しても、完全に理解することが難しかったです。毎日パソコンに向かい、常に手探り状態でした。
また、全てを自由に決められると言えば聞こえは良いですが、一つ一つを全て自分で決断しなくてはならないのは想像以上に辛かったです。
大変なことはたくさんありましたが、起業しようという気持ちは変わらず、意思は強く持っていました。

ーーU・Iターン創業による補助金情報はどこで知りましたか?
母の知人に市役所関係の仕事をしている方がいて、にいがた産業創造機構(NICO)や十日町のビジネスプラン審査会の存在を教えてもらいました。
Uターンする前に知ることができて気持ちが楽になり、起業に向けて早く動き出すことができたので助かりました。

ーーこの補助金を何に活用されましたか?
カフェとスタジオの設備投資に充てました。50歳で起業する予定が、コロナ禍の影響で1年半ほど前倒しになったため、助成金はとにかくありがたかったです。前倒しになったことで、費用面の心配がありましたが、補助金によって設備が整い、すぐにお店が営業できる後押しになりました。

食と運動で充実した毎日を

ーーUターンをして感じる、十日町の魅力はどんなところですか?
十日町は目立つような話題はあまりありませんが、食材が美味しいことや自然豊かなところ、そして年齢を重ねたからこそわかる「何もしない贅沢」を味わえる場所であることが、十日町の魅力だと思います。実際に帰ってきてみたら、その中で良いものを作ったり、面白い活動をしている人がたくさんいました。十日町は「何かができそう」という可能性を秘めている場所だと思います。

ーーそんな十日町だからこそ、できることがたくさんありそうですね。
今は、物質的なモノ重視の「物質社会」から、経験に価値が見出される精神社会に入れ替わる、時代の転換期にあると思います。そうなると感性がとても大事になってくると思います。3年ほどの間に、この地域にカフェや喫茶店が私を含め3店舗オープンしていて、お店の内容も斬新で驚かれたり、周りから「期待しているよ」と言っていただけるので、これからもっと十日町の発展に携わっていけたらと思います。

ーー馬場さんの今後のビジョン、夢について教えてください。
食と運動は、一番分かりやすい生活の基盤だと思います。この2つを仕事にしたいと思い、店舗を持つことは実現できたので、今度は健康や元気になることのその先に、みんなで一緒に向かっていきたいです。
食と運動の習慣は、必ずシェイプアップ、美肌、体調改善、アンチエイジングに繋がりますが、それらはあくまで通過点です。目に見える結果を手にした頃には、自分自身のなかで、小さな心掛けを継続する"行動の変化"から"意識の変化"へと自然と変わっています。そこがまさに目指すところです。また、健康や元気がベースにあれば何でもできると思います。なりたい未来を手にして、何もなくても楽しいと感じたり、満ち足りていると思える自由な日常を目指していきたいです。

ーー起業を考えている方や、U・Iターン創業に興味がある方に向けて、アドバイスや応援メッセージをお願いします。
起業することに加え、U・Iターンを考えた時に、今ある生活や仲間、仕事など、ほとんど全てを置いていかなければならないことに迷いや葛藤もあると思います。しかし、私のきっかけがコロナ禍だったように、誰しも必ずきっかけがあるはずです。どんなに小さなことでも、こじつけでも構いません。そのきっかけを逃さないことが大切です。
私は、コロナ禍でなければもう少し後に起業していたと思いますが、実際に始めてみたら、「もう10年早く動けば良かった」と感じています。
起業を考えているなら早く行動するに越したことはありませんので、小さなことでもきっかけを見つけてチャンスを掴んで欲しいと思います。

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