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~自治体と共同で地方での新たなワークモデルを創設~株式会社USEN-NEXT HOLDINGSが新潟へ進出した理由とは

60年以上の歴史を持つ音楽配信サービスや店舗向けソリューションを提供する株式会社USENと動画配信サービスを提供する株式会社U-NEXTを中心とした事業会社を傘下に擁し、さまざまな事業展開をしているUSEN-NEXT GROUP。店舗支援事業、通信・エネルギー事業・コンテンツ配信事業など多角化した事業展開を行い、“ソーシャルDXカンパニー”として成長していることをご存知でしょうか?

そんなUSEN-NEXT GROUPが、2021年1月に長岡市と協定を締結し、新たなワークモデル「NAGAOKA WORKER」を始動。さらに同年8月には賛同企業がサテライトオフィスとして使える「USEN SQUARE NAGAOKA」を開設しました。なぜ長岡市で新たなワークモデルに取り組もうと考えたのか。株式会社USEN-NEXT HOLDINGS コーポレートブランディング室長の藤島紫織さんと長岡市商工部産業立地課の山岸由佳さんにお話を伺いました。

1.幅広い事業展開を行う、"未来を今に近づけるソーシャルDXカンパニー"

「時間」と「場所」からの開放と
ショールームの開設を目指して

お客様の課題を解決するための店舗・施設のDX支援、より豊かなライフスタイルを実現するためのコンテンツ配信事業と多様な事業を展開してきたUSEN-NEXT GROUP。その中核をなすのは、60年以上にわたり会社を支えてきたUSENの音楽配信事業です。現在は全国約95万件の顧客基盤に対して、通信やPOSレジ、オーダー・予約システムなど、店舗で必要なDXをサポートしています。

そんなUSENがグループ統合を果たしたのは、2017年12月のこと。幅広い事業を行っていた会社が一緒になりました。それに伴い、「時間」と「場所」からの開放を目指し、スーパーフレックス制度やフリーアドレスの導入、リモートワークの推進など、多様な働き方を追求し続けてきました。

USENは、全国の店舗・施設にDXサービスを提供するうえで、POSレジやオーダー・予約システム、キャッシュレス決済などを兼ね備えたショールームを立ち上げたいと考えていました。多様な働き方の実現、USENのサービスを体感できるショールームの開設、この2点の実現方法を模索していたときに長岡市と出会うこととなったのです。

2.エンジニア獲得を求めて長岡市へ

4大学1高専と優秀な学校が多いこと、
東京からのアクセスの良さが利点

多様な働き方とショールームの開設を目指していたUSEN-NEXT GROUP。エンジニアの人材採用を進めるため、都市部に比べ競争率の低い地方への進出も検討していました。そんなときに長岡市企業誘致アドバイザーを通して、産業の活性化と人口流出を課題としていた長岡市と出会います。

「長岡市には4大学1高専と優秀な学校が数多くあるので、新たな学生と接点を持てるようになることが魅力でした。東京だとエンジニアは競争率が高い。いかにエンジニアとつながりがある人と接点を持てるかが課題だったんです。また、長岡市は東京から新幹線で1時間半ほど。都内から近いので第一号としてスタートしやすいこともメリットのひとつでした」(藤島さん)

長岡市に可能性を感じたUSEN-NEXT GROUPは、長岡市にいながら首都圏の大手企業やグローバル企業で働く新しいワークモデルを提案。すると、長岡市がサテライトオフィス支援をしていることを聞き、かねてから考えていたDXのショールームをサテライトオフィスとして開設する方向性で動き出します。長岡市の協力のもと、物件を検討。1階の路面店を探していたところ今の物件を勧められ、開設に向けて動き出すこととなりました。

3.多様な働き方に賛同する企業コミュニティを形成

USEN-NEXT GROUP、賛同企業、学生
全員にとって利点の多い選択に

多様な働き方を取り入れる企業同士でコミュニティをつくりたいという目的から長岡市とUSEN-NEXT GROUPで企業に声をかけ、「NAGAOKA WORKER」協議会を形成。賛同企業になると、長岡市が運営するコワーキングスペース「NaDeC BASE」とUSEN-NEXT GROUPが開設した「USEN SQUARE NAGAOKA」を無償で利用することができます。長岡市がサテライトオフィス誘致で接点のあった企業や、企業からの紹介企業に話をして少しずつ賛同企業を増やしていきました。

「賛同企業は、長岡で暮らしながら首都圏の企業に完全リモートワークで勤める新しい働き方に賛同してくれる企業のこと。話を持ちかけると、多くは肯定的で、大手企業からベンチャー企業まで現在は30社の企業に賛同いただいています」(山岸さん)

一方で、USEN-NEXT GROUPとしても賛同企業が集まることで、自社にも学生にも他企業にもメリットが多いと考えています。
「当社だけで説明会を開催しても、もともと興味を持っていただいた学生しか来てくれません。ですが、複数社で開催することで学生の幅が生まれてUSEN-NEXT GROUPにとっても嬉しいし、他企業にとっても嬉しいはずです。それに加えて学生にとっても就職の選択が広がりますよね。最終的に会社にとっても学生にとっても最適な環境に落ち着いてくれればと考えています」(藤島さん)

4.当初の目的である採用も順調!

USEN SQUARE NAGAOKAをきっかけに
社外活動に挑戦する社員を応援する新制度も

2021年3月にアオーレ長岡で就職説明会を実施し、最終的にNAGAOKAWORKER1期生となる新卒7名の採用につながりました。職種はエンジニアとインサイドセールス、法務、総務と幅広く、東京本社の仕事を長岡で実施できるような体制が整っています。

「法務・総務部の新担当者は2週間ほど本社で研修をしたのち、新しく開設したUSEN SQUARE NAGAOKAで働いています。それぞれ違う部署に配属されているので長岡には同じ仕事をしている人はいませんが、チャットやオンラインツールを使って東京の社員と日々コミュニケーションをとっています。経営統合時からグループ全体でリモートワークやオンラインツールを活用する文化が浸透しているため、特に大きな不便はなく仕事が進行しています」(藤島さん)

また、長岡進出をきっかけにUSEN-NEXT GROUPは新たな制度をつくりました。それが、スポーツや芸術活動、ボランティアなどの社外活動に挑戦する社員を応援する「Special Activity Worker」制度。以前からグループにスポーツ選手は在籍していたものの、長岡市出身で慶應義塾大学に進学したスキークロス日本代表の古野慧さんをきっかけに制度として整えたそうです。

「彼は地元が好きで戻ってきたい想いもあり、大学卒業後は長岡市で短期の仕事をしながらスキークロスを続けようかと考えていたみたいです。そのときにNAGAOKA WORKERを知って応募。現在は海外や東京で競技に力を注ぎながら、長岡のサテライトオフィスも利用し、新しい働き方を実践してくれています」(藤島さん)

5.多様な働き方が広がる足がかりに

地方都市で
新たな働き方の選択を

もともと東京出身で地方での勤務はなかったという藤島さん。初めて長岡に来たときの印象をこう振り返ります。

「初めて来てそのまま長岡市役所に向かったのですが、まずアオーレを見て『こんなにおしゃれな市役所があるのか…!』と驚きました。そして、担当の方々とお話させていただき、ものすごくアクティブなパワーに圧倒されたのを覚えています。現在では長岡に住む方々の新しい雇用のカタチをつくることができ、素晴らしい市の方々とこういった取組に御一緒できて嬉しく思っております。」

長岡市に好印象を持ち、藤島さんが長岡市に来た際は市役所にも顔を出しているそうです。
「取材対応などで来るとそのまま仕事をして帰るのですが、長岡で仕事をしているときはすごく自然な状態でいられるんですよね。育ってきた地元で働きたいという想いのある方々にはとても良い環境だと思っています。」(藤島さん)

「これからはNAGAOKA WORKER協議会内の交流を活性化し、長岡市内の多様な働き方が広がっていけば」と話す藤島さんと長岡市役所の山岸さん。藤島さんは「将来、協議会内の企業間で転職することだって選択肢だと思っています。まずは長岡市で定着させて、新潟県内の他の地域、ひいては全国でも同じような取組ができれば」と希望を込めて自身が思い描く未来を語ってくれました。

株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
住所:東京都品川区上大崎三丁目1番1号 目黒セントラルスクエア
https://usen-next.co.jp

NAGAOKA WORKER 公式サイト
https://nagaoka-worker.jp

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