【2021年版】新潟県内のスタートアップ・ベンチャー企業動向まとめ
開業率の低さが課題として挙げられることも多い新潟県ですが、昨今では、行政・民間ともに起業支援の体制が整い、スタートアップやベンチャー企業育成の機運が高まっているところです。
2021年のメイントピックスとしては、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業を選定し、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップエコシステムを強化する取組、「J-Startup NIIGATA」がスタートしたことが挙げられます。
東京商工リサーチ新潟支店がまとめた2020年の新潟県内新設法人動向調査によると、県内の新設法人数は1,011社で2019年より1社増え、2年連続で増加傾向にあるそうです。
産業別では、サービス業他が40%(414社)と最多でしたが、コロナ禍の影響もあり前年より23社減、一方で、情報通信は前年より19社多い68社が新設されました。
2021年を振り返り、新潟県内の注目企業や各地域での動きについてまとめました。
DeNA南場会長も登壇!新潟県スタートアップエコシステム in SHIBUYA QWS開催
2022年1月、起業・創業の推進に関わる産学官のキーパーソンをパネリストに迎え、新潟県のスタートアップエコシステムの活性化について考えるパネルディスカッション、「新潟県スタートアップエコシステム in SHIBUYA QWS」が開催されました。
DeNAの南場会長による基調講演を始め、産官学それぞれからゲストを招いたパネルディスカッション、J-Startup NIIGATAの選定企業からの3分ピッチなど、新潟におけるスタートアップのさらなる盛り上がりを感じるイベントになりました。
▼にいがた創業支援プラットフォームのTwitterでのイベント実況はこちらから
県内のスタートアップ企業20社を「J-Startup NIIGATA」として選定
2021年5月、新潟県は、公益財団法人にいがた産業創造機構、 関東経済産業局と共同で取り組むJ-Startupプログラムの地域版「J-Startup NIIGATA」の選定企業の発表を行いました。
「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップエコシステムを強化する取組です。
選定企業20社の詳細については、ぜひこちらの記事もご覧ください。
県内初の試み!スタートアップの支援者が集まるサミット実施
2021年7月に、県内の関係団体・自治体・民間スタートアップ拠点など、起業支援に関連する県内の方々が一堂に会する初のサミットが開かれました。
各地域で実施している独自の創業支援への取組が発表されたほか、起業家を支える新たな仕組みの必要性や、県内での課題の共有など、活発な意見交換が行われました。
▼「NIIGATAスタートアップ支援サミット2021」レポート前編
基調講演・起業支援の事例共有
▼「NIIGATAスタートアップ支援サミット2021」レポート後編
パネルディスカッション
新潟ベンチャー協会(NVA)がピッチコンテストを開催
新潟県に縁のある若手経営者等が集まり、ベンチャーやスタートアップの支援等を行うために設立されたNVA。2021年12月8日に2回目となる、ピッチコンテストが新潟市で開催されました。
<最終プレゼン審査に進んだ4者>
①地方企業と都会で働く人とのマッチングサービス「ともるい」/株式会社Riparia
②高齢者向け通院サービス・目的地公募型相乗りタクシー/通院サービス株式会社
③微生物を使ったバイオベンチャーの創業/佐藤 和輝さん
④ありのままを大切にする世界をサウナでつくる/HUB SAUNA株式会社
既に事業が進んでいるものも、これから事業化するものもあり、今後の新潟を牽引していく技術・サービスなどの可能性が感じられました。
▼にいがた創業支援プラットフォームのTwitterでのイベント実況はこちらから
新幹線・上越妙高駅にビジネス拠点開設
上越市の北陸新幹線上越妙高駅西口に、2021年10月、ローカル5Gを整備したビジネス拠点「JM-DAWN(ジェーエム・ドーン)」が開業しました。
4部屋のサテライトオフィスと27席のコワーキングスペース、スタジオを有し、最新の5G環境を活用したサービス・プロダクト開発を目指すスタートアップ企業を誘致していくとのことです。
コワーキングスペースのドロップイン(一時利用)も1時間750円から利用可能で、気軽に5Gの速度を体感できます。
▼NTT東日本などが全面協力するJM-DAWN
また、新潟県民間スタートアップ拠点として認定されている上越市のフルサットは、たくさんの人と思いをアップする「フルサット アップス」として2021年1月にコンテンツを拡充しました。
アイデアを形にするワークから、SNSやプログラミングなどの専門的な知識まで、上越に縁のある9人の講師からレクチャーを受けることができます。
南魚沼市でスタートアップアクセラレーションプログラム始まる
南魚沼市が主催する、第一線のスタートアップ関係者の知見や起業に関する知識を学べるイベントが2021年度、全4回にわたり実施されています。
昨年実施された「南魚沼市チャレンジ支援事業」の採択者による近況報告会も毎回行われ、地域資源を活用した特徴的なベンチャー起業家たちの取組も見ることができます。
<南魚沼市チャレンジ支援事業 採択者>
①温泉を利用したスッポン養殖事業/株式会社魚沼すっぽん
②移動販売店舗複合出店事業/移動販売車 WAYS
③塗装ファクトリー開発と塗料ソムリエ輩出事業/DONBOU color works
④国産スキー・スノーボードの製造工場設立事業/一般社団法人南魚沼シティマーケティング
▼スタートアップアクセラレーション南魚沼
起業家を成長させる新潟イノベーションベース(NIIB)始動
2021年11月22日、三条市の三条市立大学で、新潟イノベーションベース(NIIB:NIIGATA INNOVATION BASE)の第1回目となる月例会が開催されました。
県内の起業家や支援団体・自治体などによる会員組織で、今後10年間でメンバーからIPO(新規株式上場)3社創出することをミッションに、起業家の成長を促すような活動を月例会やフォーラムなどで行っていくとのことです。
発起人は、新潟に孫ターンしたITベンチャー起業家・INSGHIT LAB株式会社の遠山功さん。
▼発起人、遠山さんのツイート
起業の島としても注目を浴びる佐渡
佐渡市主催で、創業ないし起業後10年未満のアーリーステージのベンチャー企業を対象に、入賞者特典として5年間で最大4,800万円の事業費補助への加点ありというビッグなビジネスプランコンテストが開催されます。
佐渡ではサテライトオフィス/ワーケーション施設が続々とオープンしており、2021年11月にオープンした「REBIRTH佐渡ワーケーションプレイス」はオープン時より満席、2022年3月には「インキュベーションセンター河原田本町」が新たに立ち上がる予定です。
▼佐渡ビジネスコンテスト(本戦2022年1月30日実施)
フラー、長岡オフィスを開設
アプリ開発等を手掛けるベンチャー企業・フラー株式会社(本社:新潟市、千葉県柏市)は2021年11月、長岡市に新オフィスを開設しました。
長岡市内には長岡工業高等専門学校や長岡技術科学大学、長岡造形大学など多数の教育機関が立地し、正社員やインターンの採用戦略としても重要な拠点となりそうです。
コロナ禍で活躍する長岡発AIベンチャー
長岡市内には複数の大学があり、大学発ベンチャーもたくさん生まれています。中でも、コロナ禍の中で活躍しているのが株式会社IntegrAI(インテグライ)です。
簡単に取り付け可能なカメラ、UIアプリ、ディープラーニング技術を搭載したAI共同監視システムを開発しています。この技術を、温度管理が難しいコロナウィルスのワクチン保管で活用し、新発田市の大規模接種会場などで利用されたそうです。
新潟市でドローンを使った実証実験始まる
2021年3月、新潟市で設立されたベンチャー、TOMPLA(トンプラ)株式会社の取組もユニークです。
ドローンを活用した物流構築などの設計・コンサルティングなどを行う同社は、2021年6月、新潟市と共同でドローンを使った宅配プロジェクトの実証実験を実施しました。
今後、過疎地への配達や配達車不足の中で高まっていくであろう個別宅配需要へのソリューションとなることが期待されています。
新潟県での起業家をまとめた著書が発売!
新潟でスタートアップエコシステムの構築を研究してきた新潟大学 経済科学部 准教授の伊藤龍史氏。先駆者たちの成功事例を挙げながら、起業家(アントレプレナー)について解説した著書が2021年3月に発刊されました。
その名も「にいがたアントレプレナー学」!
新潟県内で既に起業している先駆者たちの成功事例を交えながら、起業家に共通する思考プロセスや行動様式が体系的にまとまっており、これから地方で起業を目指そうとする方には是非オススメしたい一冊です。
最後に
新潟県内のスタートアップ・ベンチャー企業動向まとめ、いかがでしたでしょうか?
2021年は、県全体でのスタートアップ支援の取組から、県内各エリアでの動向、新たなスタートアップ・ベンチャー企業の躍進に加え、学生をはじめとした若者の間でアントレプレナーシップの機運が高まった、エポックメイキングな年だったと改めて感じます。
2022年も、新潟のスタートアップ・ベンチャー企業の一層の飛躍の年になりますようご期待ください!