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【イベントレポート】世界で活躍する起業家に学ぶ起業のすゝめ

イベント概要

JBMC(ジャパン・ビジネスモデル・コンペティション)は、世界最大のリーンスタートアップ式ビジネスプランコンテストであるBMC Global(ビジネスモデル・コンペティション・グローバル)が日本で唯一認めるオフィシャル大会です。

JBMC新潟ラウンドの開催に先立ち、起業を目指す学生を対象に、ひとりひとりが取り組みたい社会への問いや、事業を通して叶えたい未来像を掘り起こすことを目的にしたプレイベント、『世界で活躍する起業家に学ぶ 起業のすゝめ』を開催しました。

【日時】2022年11月15日(火)18:00~19:30
【会場】オンライン(Zoom)
【参加者数】42名
【主催】新潟ベンチャーキャピタル株式会社・新潟県
【企画・運営】新潟大学 伊藤龍史研究室

【スケジュール】
18:00 オープニング・講師紹介
18:05 講演
18:35 トークセッション
 ■ 学生だからこそできる将来へのアクション
 ■ 世界から見た日本/新潟の魅力
 ■ 世界を視野に入れたビジネス

19:15 JBMCについての説明
19:30 終了

講師


イベント内容

本イベントは前半後半に分けて開催され、前半は株式会社ハードオフコーポレーション代表取締役社長 山本 太郎氏によるご講演、後半はモデレーターを交えたトークセッションが行われました。今回はイベントの様子をダイジェストでご紹介します。


世界に羽ばたけ!from NIIGATAで!

2019年から株式会社ハードオフコーポレーションの代表取締役社長に就任し、翌年の2020年からは新潟ベンチャー協会の代表理事として、若手起業家の支援にも取り組まれている山本氏から海外展開をテーマに海外進出のポイントや新潟の可能性、期待できる盛り上がりなどについて講演いただきました。新潟の『まじめ』な県民性や人口や所得等からみるポテンシャルから上場企業が登場することで、さらに新潟が盛り上がるといった展望へ話は広がりました。

『株式会社ハードオフコーポレーション』は1972年に創業。本社を新潟県新発田市に持ち、オーディオやパソコンに特化した専門的な小売店、電器店からスタートしました。現在は国内に904店舗、国外に13店舗(アメリカ、カンボジア、台湾、タイ)の計917店舗を展開しています。

山本氏が、社長就任後に取り組んだのが海外展開。そのポイントは3つ。

①ネットの情報だけでなく、目で見て、肌で感じ、自分の足で切り拓くことが大事
現代は簡単に情報が手に入るので、自分がそこへ行き、全てを知ったかのように感じてしまうが、そうではなく自分の足で切り拓いていくことが大事である。アメリカへ進出した経験から、イギリスやフランスへも進出できるという自信があるのは、自分で切り拓いたからである。

②自分の中で70%の確信があるならば挑戦する価値がある
100%できると確信するまで行動しないのは遅く、逆に50%程度の確信では不安。事業や海外進出の際は、70%の確信があればスタートを切るべきだと考えている。

③文化の異なる海外で日本の企業文化を定着させるには7:3の割合が最適
海外事業において、日本で培ったハードオフのDNA、仕事のやり方があるが、それをどれほど現地に合わせてカスタマイズするかの比率は『7:3』が最適であると考えている。初めは『アメリカ:日本=7:3』の割合で、仕事に対する文化を取り入れたが上手くいかなかったため、「日本:アメリカ=7:3」の割合(海外にはない朝礼を導入する等)にしたところ店舗が上手く回るようになった。日本で大事にしている仕事の文化をしっかりと伝えることが重要。

本社が小さな都市にある欧州の有名ブランドを例に、ストーリー性を生みやすい地方都市に本社を置くことこそがメリットだと山本氏は締めくくりました。

【本社所在地の人口】
 addidas:約2,3万人(ドイツ:ヘルツォーゲンアウラッハ)
 シャネル:約6万人(フランス:ヌイイ・シュル・セーヌ)
 ランボルギーニ:約7千人(イタリア:​​サンターガタ・ボロニェーゼ)
 ※新潟市の人口は約81万人



海外展開の一歩目を経て

後半のトークセッションでは講師の山本氏に加え、新潟ベンチャーキャピタル株式会社の星野善宜 取締役を迎え新潟大学 経済科学部の伊藤龍史 准教授がモデレーターとして進行を行い、学生からの質問に答えながらのトークセッションを展開しました。

伊藤:ー海外展開への質問の前に、まずは『経営者になって変わったこと』について伺えますか?

山本:社長になって一番大きく変わったのは責任の大きさですね。自分の意思決定を誤ってしまうと、数百人いる社員が全員誤った方向に進むわけです。そのため、誰よりも俯瞰して会社の置かれている状況を見る必要があり、常に情報に触れることは意識しています。

星野:時間を自由につかえるので選択肢の幅は広がりましたが、それに伴い自分の決断に対する責任も飛躍的に大きくなりましたね。責任はありますが、自分で決断するという楽しさもあります。


伊藤:ーハードオフコーポレーションは国内のみならず海外にも進出されていますが、海外へと背中を押したきっかけはなんだったのでしょうか?

山本:私があと30〜40年社長として働くと考えた時に、次の成長の芽は”今”作っておかなければいけないと思ったことが大きな理由です。またアメリカ進出がきっかけで、現在アプリの開発などにも着手していて、海外進出の波及効果も生まれています。長期的な目線でチャレンジすることが、実は短期的な目線にも繋がることもあると考えています。


伊藤:ー 海外に進出されて感じたマイナスのギャップや想定外だったことは何でしたか?

山本:アメリカの店舗で、今一番悩んでいる問題は『治安』です。強盗がいたり、万引きが多かったり、ガラスケースが割られたり…そういったことが日常的に起こっています。 

また、1号店オープンの際に日本から持って行った商品でこれはダメだったなと思った商品は『野球のバット』です。アメリカだから野球だろう!と思って持って行ったのですが、その内の半分がアメリカにはない軟式野球のもので、残りの半分は漢字で硬式と書かれたものでした。ひらがな表記のあるパソコンのキーボードなども売れなかったですね(笑)

当日はZOOMでセッションが行われた

伊藤:ー海外展開において現地には頼れるリーダーが必要だと思うのですが、会社や事業を任せる際には、どのような点を大事にされていますか?

山本:英語が話せるというような能力面や、ガッツがあるという点ではなく、『理念を共有できているか』が重要なポイントです。想いが一緒だから遠く離れていても安心して任せられると考えていて、そのためにハードオフのDNAを共有する理念教育に力を入れています。

星野:まだまだ事業承継を考えるフェーズではありませんが、まず僕が経営しているうちは「この会社の社長になりたい」と思えるよう、リーダーを目指す人材を育成し、会社を成長させたいと思っています。


伊藤:ー 最後にお聞きしたいのですが、海外での経験もあるおふたりは学生時代をどのように過ごされましたか?

山本:私は、ただひたすらテニスに打ち込んでいました。部活動を通して組織の在り方を学びましたね。趣味としてバックパッカーをしながら旅行もしていたので、グローバルな感覚はそこで身に着いたかもしれません。

星野:アルバイトを同時に6つくらい掛け持ち、学校で寝ていたようなあまり好ましくない学生生活をしていました(笑)。 北海道の大学だったので、道内の旅行はかなりしましたし、旅行で色々なことが経験できました。ただ私は新卒で商社に勤めるまで海外に行ったことがなかったんです。学生のみなさんには学生のうちにぜひ海外旅行に行って欲しいと思います。

まとめ

イベント前半の山本氏の講演では、日本における新潟のポテンシャルを改めて熱弁いただき、さらには新潟発で海外展開をする山本氏からリアルな体験談をお話しいただきました。常識や当たり前が異なる海外で成功するための秘訣や、地方発で世界的に有名なブランドの事例を交えたエピソードからは、海外展開のヒントを得られたのではないでしょうか。

後半のトークセッションでは、経営者である山本氏、星野氏へ様々な質問が学生たちから寄せられました。前半の講演内容を深掘りするような海外展開に関することや、日本と海外のギャップについての質問が出ていました。最後には事業承継やおふたりの学生時代にまで話題は発展し、海外展開のみならず、経営や起業に関して幅広く学ぶ良い機会となったのではないでしょうか。

イベントを終えて

【企画・運営】新潟大学 伊藤龍史研究室
「海外でも多くのリユースショップを出店されているハードオフコーポレーション代表の山本氏より、仕事に対する考え方について日頃の体験談を交えながら熱量高くご講演いただきました。トークセッションでは学生からの質問に対し具体的な事象を説明しながら丁寧に回答してくださり、学生自身の取り組みたい事業を考える上で大変参考になる機会となりました。JBMCへの応募、ひいてはピッチの事業構想に繋がる視点をたくさんいただき、参加者の皆様からも大変好評のイベントとなりました。」


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