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「食の安全・安心を提供」獣医師の仕事(令和5年6月30日)

皆さんこんにちは。
2週続けての獣医師さんからの寄稿ブログ!
第2弾は食肉衛生検査所での仕事を紹介します。
普段、スーパーやお肉屋さんの店頭に並んでいる食肉などが、病気を持っていないか、衛生的に処理されているかなどを獣医学の視点で検査しており、食肉の安全・安心を提供しています。
働く獣医師の仕事内容をぜひご覧ください!

■一日のはじまり

「おはようございます。今日は牛20 頭、豚350 頭の現場検査があります。現場検査の後に衛生指導の打ち合わせをします。昨日保留した豚の検査の進捗状況はどうでしょう?」
「現在増菌培養中です。今日は純培養を行い、明日は性状試験、結果は明後日になります。」
「担当はA さんですね。ではB さんはサポートで対応してください。それでは今日もよろしくお願いします。」
一同「はぁ~~い (・∀・)ヽ(。·ω·。)ノ (`·⊝·´) (*´∀`)」

■こんな仕事をしています!

ここは食肉衛生検査所。牛や豚などを「とさつ」して枝肉にする「と畜場」で、「と畜検査」を行う部署である。当所の朝は上記のようなミーティングから始まる。
「と畜検査」では、牛・豚・馬・羊・山羊について、その獣畜の肉や内臓が食用に適するか否かを判断している。獣畜は生き物である。工場製品とは違い、同じ血統・同じ飼い方をしていても病気の出方は個体ごとに変わってくる。「この豚は肺と肝臓が悪い、この豚は心臓と大腸が悪い、この牛は骨と筋肉の一部に異常がある」という風に。(もちろん病気でない牛や豚も多い)。そのため、「と畜検査」では、獣畜1頭1頭の全身をくまなく検査し、どの臓器がどの範囲まで食用適か判断する必要があり、動物の病気のエキスパートたる獣医師が「と畜検査員」として、と畜場の現場に張り付いている。普段私たちがスーパーなどで目にしている「豚ロース・牛カルビ」などは、この「と畜検査」をパスしたものが陳列されているのである。

■現場検査

と畜検査の現場に戻ろう。
「豚で疣贅(ゆうぜい)性心内膜炎が出ましたー。」「牛でリンパ腫疑いが出ましたー。」
「了解。心内膜炎は微生物検査、リンパ腫は病理検査ですね。両者とも残留薬物の理化学検査もしましょう。各担当に伝達しておきます。」
と畜検査では様々な病気が発見される。現場検査で探知された症例は精密検査に回され、各種検査が行われる。微生物、病理、理化学。これらは精密検査の3 本柱だ。これらの担当には獣医系大学で専攻ゼミを受けた検査員が主に担当し、学生時代の経験を活かしつつ、その知識や技術はさらに磨きのかかったものとなっている。

「この症例、この部分は既報の通りだけどこの部分は特殊だね。もっと精査して症例報告としてまとめ、発表しよう。」
現場で発見される症例は教科書通りではない。典型例が記載されている教科書の知識をベースに、他の様々な要因(病気のステージ、他の病気との合併、獣畜の個体差など)を鑑みた判断が要求される。現場の症例は「宝の山」だ。と畜検査では日々新しい発見があり、それが集積されている。そして、そこから昇華されたものは時に教科書を書き換えることもある。

■衛生検討会議

この日は現場検査終了後に、公衆衛生獣医師である「と畜検査員」による衛生検討会議を開催。
「ナイフや手指の消毒が徹底されていないケースには適切な手洗いの方法やタイミングを指導しましょう。」
「枝肉の衛生検査の結果ですが、現在のところ良好なものの、夏場の入り口になり衛生指標菌に上昇傾向が見られます。」
「と畜場(事業者)から衛生対策の相談が来ています。」などの情報を共有。

と畜検査員は、公衆衛生(特に食品衛生)の視点からと畜場職員の衛生指導も重要な業務である。とさつ後に解体された獣畜は食肉のスタート地点である枝肉となり、「動物」から「食品」に生まれ変わる。器具や手指の洗浄消毒、衛生検査結果の長期的推移の解析、と畜場の衛生管理計画の策定…。衛生指導は様々な角度からアプローチしており、事業者であると畜場職員と協働で衛生的な食品を日々市場に送り出している。

■定時間近

気付いたらもう17 時近い。毎日色々な業務があり、いつの間にか1 日が終わりそうだ。さてこれからどうしようか…。特異症例の精査をしようか?衛生計画を推敲しようか?いや。。。今日は動画の生配信があるから定時で帰ろう(・∀・)。
明日はどんな症例との出会いがあるだろう。楽しみで仕方ない。
執筆者 パッショーネ長岡食検Iより

最後に

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