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第4回NVAピッチ出場者インタビュー

第4回NVAピッチで本選に出場されたHUB SAUNA株式会社 代表取締役 冨田 翼空さんに、展開する事業やNVAピッチに参加して気付いた変化、今後の展望についてお聞きしました。

※NVAピッチ
次世代の高成長なベンチャーや第二創業者の輩出を目指し、 新潟県に縁のある若者経営者などにより設立されている新潟県ベンチャー協会 (略称:NVA) が主催し、起業家や企業からのビジネスプランを募るピッチイベント。2020年から毎年開催。


HUB SAUNA株式会社 代表取締役 冨田 翼空さん

<プロフィール>
冨田 翼空(とみた たすく)
1998年阿賀野市水原生まれ。新潟大学経済学部の3年生の時にHUB SAUNA株式会社を創業。現在は主に輸入サウナ機器の販売事業を展開している。


北欧のサウナ製品を販売し、多くの人に解放感と感動を届ける

ーーHUB SAUNA株式会社ではどのような事業を行っているのでしょうか?
私たちは、北欧のサウナメーカーの商品を日本で販売するライセンスを取得し、その商品を販売するサウナ専門商社です。現在は3社のメーカーと取引しており、商品としてはサウナの小屋や電気のストーブなど、サウナに必要なアイテムを一通り取り揃えています。

北欧のメーカーを選んだ理由としては、サウナの本場である北欧ではサウナ製品の製造経験も長く、木材などへの投資額が高いため、良質な材料が手に入りやすいからです。また、他メーカーと比べて安価かつ良質な製品が揃っていることも理由の1つです。

また、現在の運営は、私を含め3名の取締役に4名ほどのインターン生を加えたメンバーで行なっており、取締役のうち1名がエストニアに法人を持つ社外役員です。そのため、北欧とも連携しやすいという強みを持っています。

ーーそもそも、なぜサウナの事業を選ばれたのでしょうか?
先輩の経営者にテントサウナへ連れて行っていただいた時に、感動して心が救われるような体験をしたことがきっかけです。
起業に向けて準備を進める中で、なかなかうまく行動することができず自己嫌悪のループに入った時期がありました。そんな時にテントサウナに入り、自然と一体化するような「ととのう」体験をしたことで、「今までなんだかすごく小さいことに悩んでいたんだな」と強い解放感を味わったのです。この解放感や感動を多くの人に届けていきたいと思い、その日のうちにサウナの領域で起業することを決めました。
「サウナ」で起業すると決めてから会社を作るまでは早かったです。サウナのイベントを企画・運営しながら、半年ほどで創業に至りました。

自分の価値観を表現できる職業が起業家だった

ーー冨田さんが起業家への道を歩み始めたのはいつだったのでしょうか?
大学2年生の夏頃です。卒業後の進路としては、当時は親の勧めもあって国家公務員を目指していたのですが、仕事の内容を改めて調べたところ「私は本当にこの道を目指したいのだろうか?」と疑問を抱いていました。
そこで、もっと自分の価値観を表現できる職業に就きたいと思い、いろいろ調べていたところ、デザイナーと起業家について特集された「記事」に出会いました。中でも「起業家ってなんだかカッコいいな」と思い、そこから志すようになりました。

ーー起業家に憧れたことがきっかけだったのですね。そこから実際に起業するまでの道のりはいかがでしたか?
起業家になりたいと思うものの、はじめは具体的な行動の仕方が分からず、自分の無力さをひしひしと感じました。
しかし、学部の友人がマーケティングや起業家育成を行うゼミを紹介してくれたことがきっかけで、道が開けていきました。それからSN@P(株式会社スナップ新潟:新潟県の民間スタートアップ拠点の中核を担う)や起業家の先輩をはじめとしたさまざまな方との出会いがあり、起業の準備を進めることができました。

ーー大学3年生で起業され、現在は創業4期目を迎えました。苦労していることや、やりがいを感じていることを教えてください。
エストニアとのやり取りをする中で円安の影響が大きく、お金の面に苦労しています。弊社にはエストニアのメンバーもいるのですが、例えば給料を充分に支払っていても、1ユーロ約175円(取材当時)かつ物価も日本の2倍ほどなので、実質のボリュームはどうしても少なくなってしまいます。
また、そもそもサウナには火事のリスクや電気の施工なども絡んでくるため、ビジネスとして難易度が高いです。その中でどこまでの責任を負って事業を進めていくかということを常々考えています。
一方で嬉しいことは、やはりお客様に商品を買ってもらえることです。弊社のお客様は富裕層の方が多く、目も肥えていらっしゃいます。弊社の商品を見て実際に買ってくれるということは、彼らから見て弊社の商品が投資対象となり、特徴もあって買う意味があると感じてくれたからだと思うとやりがいを感じます。
そして、弊社で事業に関わるメンバーが増えたことにより、皆が楽しそうなことも嬉しいです。まるでサファリパークのようなわちゃわちゃした雰囲気なのですが、遊ぶ時は遊ぶ、やる時はやるといったメリハリをつけるようにしています。

事業の解像度を高めてくれたNVAピッチ

ーーNVAピッチに出場された理由を教えてください。
一番は自己成長の場になると考えたからです。起業の準備をしている段階からお世話になってきた先輩方に、自分の成長を見せることのできる機会になると捉えました。また、出場することでアドバイスをいただいたり、他の起業家たちと交流を深めたりしながら、新しいビジネスの種を見つけることができるのではないかと考えました。
出場を決めてからは、とにかく事業で実績を積み重ねることに集中してきました。海外のサウナ製品の販売は為替が大きく関わる仕事ということもあり、リスクのコントロールは必要不可欠です。また、商品の値付けや届けたい客層にしっかり届くような広告の打ち出し方にも工夫を重ね、銀行融資にも力を入れました。

ーー第4回NVAピッチでは本選に進まれましたが、出場前と比べて変化したことはありましたか?
起業家の先輩方から「これからはこういう風に営業していったら良いのではないか」など、以前より具体的なアドバイスをいただくようになりました。 先輩からのアドバイスを受け、自分自身の中でも事業の解像度がより高まったと思います。

ーー今後目指していることを教えてください。
弊社では「◯◯×サウナで世界に新たな価値を創造する」というミッションを掲げています。サウナ単体では娯楽やエンタメといった枠組みなのですが、そこに建設現場や映像領域などといったさまざまな業界を掛け合わせることで、それぞれの良さを生かせると考えています。
サウナで日本だけでなく海外の文化をかけ合わせた仕事ができれば、さらなる事業展開や拡大の可能性を期待することができます。

ーーサウナはさまざまな業界との掛け合わせが可能なのですね。今後はどのようなプロジェクトを進めていく予定でしょうか?
例えば、広い駐車場の空き区画を活かしてサウナを導入し、賑わいを創出するというプロジェクトがあります。このようなパッケージを低投資で作ることに今後挑戦していきたいと考えています。

考えることに縛られず、たくさん行動する

ーー今後は学生の起業家もますます増えていきそうですね。起業を考えている学生にメッセージをお願いします。
実際に学生の相談に乗る機会もあるのですが、行動する前や行動するために考えすぎる人が多いと感じています。そうではなく、考える前に行動したらうまくいくのではないかと思います。
「PDCAを回す」という言葉を使うとややこしくなってしまうのですが、皆さんどうしても考えることばかりに縛られているように思います。私自身も以前はそうでしたが、起業家の先輩方が「行動しないなんてダサいよ」「いつ行動するの?」と背中を押し続けてくれたことで、行動量を変えることができました。その経験から、私も相談に来る後輩たちに、先輩方がかけてくれた言葉をかけています。

ーー考えすぎずにまずは行動しようということですね。行動していく上で大切にしている考え方はありますか?
「やるか、それとも、やるか」です。弊社のバリューもまさに「Do・and・Do」ですので、メンバーにも自分自身にも常に言い聞かせています。
また、学生起業家のメリットは応援してもらいやすいところにあると感じており、人とのつながりも作りやすいです。行動を積み重ねる中で、一人で抱え込まずに先輩や周りの人に相談することを忘れないようにしたいです。アドバイスを受けて実践することが、目標達成への一番の近道だと考えています。


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