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~大学や企業との連携で新たなイノベーションを~ 株式会社イードアが新潟へ進出した理由

戦略の策定・実行から新規事業立ち上げ、DXまで企業活動をあらゆる側面からサポートするコンサルティング会社、株式会社イードア。2020年には新潟支社を立ち上げ、大学や自治体、既存産業と連携し、新潟でのイノベーションを起こすべく、奔走しています。新潟支社長を務める石川翔太さんに新潟進出の背景から、進出後の展開、今後の展望まで、新潟県産業立地課が幅広く取材しました。

1. イードアの事業内容とは

関わりのない企業を組み合わせて
イノベーションを生み出す

株式会社イードアは2010年に東京都赤坂で立ち上げた会社で、現在の社員は40名弱。一言でコンサルティング業とはいえ、その内容は幅広く、組織人事からインキュベーション、DXまで様々です。
事業の軸は、「新産業創出×既存産業の成長支援」。スタートアップの企業同士や、既存産業同士だけではなく、双方の事業体が融合していくことで、社会の成長に繋がる。そう考えて企業と企業を繋ぐ役目も果たしているのがイードアです。

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そのプロセスとして必要なのが、経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報・顧客」へのアプローチ。ただ、事業を成長させるだけでなく、根本の課題はどこにあるのかを考え、さまざまな方法で解決の糸口を探しています。

その中でも得意分野は、社内で新規事業を立ち上げる「インキュベーション」。社内のリソースで事業を立ち上げることもあれば、他企業との協業を促すこともある。それだけではなく、イードア自身がパートナーとなって共に事業に取り組むことさえあるそうです。

2. 新潟市進出の決め手

「人」のおかげで
新潟進出の糸口が見つかった

コンサルティング業で企業のサポートを続けてきたイードア。その仕事のバックオフィス機能を備えた拠点を探していました。しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、物理的なオフィスは撤退する流れ。それでもイードアは、地方に拠点を作ることで本社にも変化が生まれると信じ、新拠点の候補地を探し始めたのです。

様々な情報に当たっている中で、2020年に新潟に進出したバレットグループの大崎取締役の紹介で、新潟県の東京事務所を訪問。そこで繋がった「人」に魅了され、その人の縁で、新潟が好きになり、トントン拍子に新潟進出が決まることとなりました。

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「担当してくれた県の方がすごく良くしてくれて。『イードアさんなら、新潟のこんな人と繋がったら面白いんじゃない?』と色んな企業と繋いでくれたんです。それで先方に行くと、みんな歓迎ムード。その人が地場の企業から信頼されていることを実感しました。こうして、色んな企業を紹介してくれたおかげで、当初全く分からなかった新潟の輪郭が見えるようになりました」(石川さん)

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NINNOを運営する木山産業株式会社と繋がったのもこのころ。おかげで、NINNOへの入居、木山産業との業務提携も決まりました。余所者が地場の企業様とタッグを組んでこの場で何かをやろうぜと言える。そんな環境の足掛かりを作ってくれたのが、新潟県でした。

3. 新潟でのイードアの役割

大学や企業との連携で
新たなイノベーションを

新潟支社をオープンしたのが、2020年11月26日。オープン前は本社のサポート拠点として考えていましたが、地場の企業と繋がりが生まれたことで、事業の拠点としてもスタートさせました。

新潟支社での活動のひとつが、新潟大学と協働で研究を進めている「起業家育成プロセスのモデリング」。イードアが発行する起業家の人生に迫った雑誌『Focus On』で培ったデータをもとに、起業家精神の育成に取り組む新潟大学経済科学部の伊藤龍史准教授と共にどんな人物がどんな起業・挑戦をするのかを分析。新潟県内における「どのようなタイプの方であれば、どういうきっかけがあれば挑戦しやすい」といった生き方モデルの抽出を目指しています。

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「『Focus On』は、経営者に半日かけてインタビューし、幼少期からの意思決定と行動選択のプロセスにまつわる情報を収集蓄積したもの。16パターンに分かれる経営者の分類をもとに、どんな人が起業する傾向があるのかを研究してきました。新潟進出前に聞いていたのが、県内での開業率が低いと聞いていたので、今までの経験と知見で開業率向上の力になれればと考えていたのです」(石川さん)

さらに2021年5月には、起業支援団体である株式会社スナップ新潟とともに「新潟アントレプレナーシッププロジェクト」を始動。共同研究でのデータを踏まえ、新潟県内の若手人材それぞれの人生に合う事業案や未来像の創出を目指すプロジェクトを考案しました。

「アントレプレナーシップは起業家精神/企業家精神と訳されることが多く、事業を興す人にだけ必要な要素だと思っている人もいるかもしれません。でも、起業は自分のやりたいことを明確にすること。起業しなくても、全員が持っておくべき精神だと思っています。このプロジェクトを通してアントレプレナーシップを持った人が増えてくれたら嬉しいですね」(石川さん)

4. 現場で働く社員の声

未知の仕事にワクワク!
経験も知見もあるイードアで働く意味

新潟に進出したからには、現地で採用し、県内の雇用・スキルの底上げに繋げたいと考え、地元採用を推進。コンサルティング未経験の中途採用で、20〜30代の4名を採用しました。

実際に働いている曽我侑加さん、齋藤雅さん、横山優さんにお話を伺ってきました。

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「前職は、神奈川県の半導体商社で事務をしていました。Iターンで新潟に来たこともあり、応募。2020年12月からコンサルのサポート業務をしています。まだ新潟支社が始まったばかりで事務の効率化も図れていないころ、前職で培った経験から組織のサポート体制を明文化。仕組みを整えるお手伝いができたことは嬉しかったですね」(曽我さん・右)

「私は新潟でブライダル系の仕事をしていたのですが、別の仕事にチャレンジしたいと思って転職。新潟を盛り上げるという熱量に惹かれて入社しました。業務は曽我と一緒でコンサルのサポート業務。今までやってこなかった資料作成、イベントプロデュースなど新しい業務も多く、大変ですが、楽しみながら続けられています」(斎藤さん・中)

「私は大学との共同研究のデータ収集、新潟版『Focus On』の企画編集を担当しています。まだ入社したばかりで、分からないことがたくさんありますが、人のため、地域のためになる、メディアを作れればと考えています」(横山さん・左)

5. 新しい自分が見つかる、新潟暮らし

新潟で見つけた
新たな趣味

地方に住むのは初めてだという東京都出身の石川さん。新潟に来て新しい趣味が見つかったといいます。

s-HOSTEL+PERCH_外観

「新潟に来てサウナにハマりました。今まで水風呂が苦手で嫌だったのですが、この前佐渡のHOSTEL perchさんに行ったら、景色が綺麗ですごく心地よかったんです。夜空も綺麗だし、サウナの隣でBBQをやっていたりして。自然の近くでのサウナって気持ちいいんですね」(石川さん)

現在は新潟の観光地をめぐるInstagramのアカウントを作り、一般的な観光スポットから伝統工芸品、自然豊かなスポットまで幅広く紹介しています。知人に言っていないアカウントにも関わらず、600以上のフォロワーを獲得したのだそう。

「来る前まで新潟の文化について、あまり印象がありませんでした。でも、実際は織物や凧、祭りなど魅力的な文化が栄えている。こうした状況を捉えて、小千谷縮の布を使ってスカートを作るなど、伝統を生かしたファッションブランドを作っている人がいたり。こうしたムーブメントがあるのが面白いですよね」(石川さん)

6. 革新の可能性に富んだ新潟県

産産官学の連携で、
新潟にイノベーションを起こす

企業と大学、地方公共団体が連携する、産官学。イードアの事業として少しずつ実現してきましたが、石川さんが目指すのはもう一歩先の「産産官学」です。

「産産官学とは、地場の企業×地場になかった企業と官学が連携すること。新しい企業でも、県外から来た我々のような企業でもいい。地域産業を支えてきた地場の企業と今まで地場にいなかった企業が関わることで、新しい新潟が生まれてくるはずです。私たちが新潟でやりたいことは、イノベーションを生むこと。その一翼を担えたら嬉しいです」(石川さん)

東京から新幹線で約2時間。利便性はあるものの、開業率が低いといわれる新潟。それでも、まだ新潟におけるイノベーションの可能性はあるのだろうか。

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「これだけ東京からの利便性が高い地方都市で起業家が少ない地域は珍しい。チャンスの多い“これから”の土地だと思っています。賃金が安いからなどの消極的な理由ではなく、事業を推進する地域として選ばれる要素も充分にあります。事実、この前ドローンを扱うスタートアップ起業家の知人が都内は利害関係者が多く、調整が難しくて飛ばせないからと、新潟市の駅前都市部でドローンを飛行させ日本初の都市部飛行を実現させたところです。行政の担当者の方もドローンという新しい技術への受容度が高く、新潟のポテンシャルを感じてくれました。他の組織と連携を図りながら、これからもイノベーションを生み出す役目を果たしていきたいです」(石川さん)

株式会社イードア 新潟支社
新潟県新潟市中央区笹口1丁目2番地 プラーカ2 2階NINNO内
https://edoa.co.jp/


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